今まで書いたことない、読んだことない人物の話を書いてみたくて思いついたのが彼でした。
・・・長いかも。
脇役、な彼だけど、彼が居ないと封神は成り立たないのです。
flyingdragon・・・・・・・・・・・・・
「パパ!」
「あなたっ!」
それはまだ、ボクがご主人のもとに来る前の話ッス。
スープーパパ-彼が独身だったころの名前は誰も知らない-はその日、瀕死になりながら愛する家族の待つスープー谷に帰ってきた。
スープーママは彼の姿を見るなり彼にすがりつき、涙をこらえながらスープーシャンにベッドの用意をさせ、夫をベッドに寝かし付けて、つきっきりの看病を始めた。
いったい、どうして?
なんでパパが、こんな目に?
母の憔悴ぶりを見ていたらとてもそんなことは聞けず、
スープーは戸惑いながら、父の勤め先でもある崑崙山へ薬を受け取りに行く日々をすごした。
その崑崙でも、父の大怪我の理由は誰に聞くことも出来なかった。
何日か経った頃。
「ただいまッスー・・あれ、ママ!」
「あら、おかえり、スープーシャン。毎日毎日、ありがとう」
父が帰ってきてから付きっ切りだった母が、なんだか嬉しそうにキッチンに立っている。
「パパが、やっと目を覚ましたのよ!今まではずっとお薬と仙桃エキスだけだったけど、目覚めたら流動食からって言われていたの。ちょっとおかゆが続くけど、ママがんばっちゃうから!カップケーキは我慢してね、スープーシャン・・あらま」
最初の一言を聞くや否や、スープーシャンはもらってきた薬もそのままに、父の寝室へと飛んでいった。
「パパ・・パパァ!」
「・・スープーシャンか」
「パパ・・め、さましたっスね、パパ、よ、よかったッス・・うぅ・・パパァ」
「こらこら、泣くんじゃないですネェー、スープーシャン。男の子でしょう?」
「うう・・ひっく」
寝室にたどり着いてみれば、そこには確かに寝台から少し身を起こした父が居た。
1週間寝たきりになっていたせいで、心なしか肉が落ち、小さくなったような気がする。
でも紛れもなく、父は目を覚ましていた。声もすこし力なかったが、紛れもなく父のものだった。
「だって・・だってパパ死んじゃうかも知れないって思ったッスよ!」
「心配をかけましたネェー。でももう、大丈夫デスよ」
肩をぽん、とたたかれて、スープーシャンは自分でも衝動が抑えられなくなって、聞きたくて仕方なかった事を訊いていた。
「パパ・・・どうしたッスか、そのケガ。普通に朝、お仕事って言って出かけていったっスよね?
パパ・・ずっと教えてくれなかったけど、パパの御仕事って、いったい何をしてるっスか?
ボクに、お前もきっとおなじ仕事に就くからそのうちわかる・・・って、ボクはいったい何をするッスか?
何で、なんでそんなケガ」
「おちつくデスネェ、スープーシャン」
父は彼をベッドサイドにおいたイスにすわらせると、静かに語りだした。
「元始天尊さまを知っているね」
「はい、パパの上司さんッス」
「パパは、元始天尊さまの乗り物をしている、いや、していたですネェ」
「・・のりもの?元始天尊さまの・・?」
「そうですネェ。私たち霊獣にとって、立派な仙人や道士におつかえすることはこの上ない名誉ですネェ」
「・・・すごいっス!!パパは、この世で一番の仙人さまにお仕えしてるっスね!仙人の誰かの乗り物をしてるのは知ってたッスけど、なんで今まで言ってくれなかったっスか?パパは、ボクの誇りっスよ」
「まあ聞くですネェ。スープーシャン、元始天尊さまがどんなお仕事をしているか、知ってるですネェ?」
「元始天尊さまのお仕事・・・お弟子さんにけいこをつけることッスか?」
「それだけじゃないですネェ」
「え?」
「元始天尊さまは、崑崙の仙道みんなを守るために、ときに戦わなければならないのですネェ」
「・・・戦う・・って、じゃあ、パパのそのケガは」
父は静かに頷いて、スープーシャンの顔を見た。
「乗り物の仕事は名誉、しかし、名誉ということは危険もついて回るのですネェ。今回元始天尊様を守りぬくことは出来たデスが、次に趙公明が攻めてくれば、また元始天尊様をお乗せしてお守りすることは、難しいかもしれないですネェ」
「じゃあ、ボクたちに言わなかったのは・・・」
「乗り物である霊獣になにかあれば、元始天尊さまのお役にたつことが出来なくなるですネェ。そんな卑劣なことをしてくる仙道はなかなかいないデスが、言うわけにはいかなかったですネェ。・・許してほしいですネェ、スープーシャン」
「・・・・」
スープーシャンは、とても不安な顔をして、うつむいていた。
「・・・ボクも、戦いに出るっスね」
「そうなるかも、しれないですネェ。元始天尊さまの乗り物は、スープー一族が代々担ってきたですネェ。」
「ボク、・・・・ボク、パパみたいに、戦えないッス。パパみたいに大怪我して、危ない目にあって、・・それでも、お一人のご主人をお守りできるかなんて、・・こわいッス、ボク」
「スープーシャン」
スープーシャンが顔を上げると、今まで父が見せたことのない顔をしてスープーシャンの目を見ていた。
「ご主人に命をかけておつかえする。これが霊獣の血、そして代々元始天尊さまにお仕えしてきたスープー一族の血に流れる誇りですネェ。お前にもこの血が流れているのです。不安に思うことがあろうと、その血が流れている限り、お前にはそれを出来る勇気があるのですネェ。それにお前はきっと、元始天尊さまに勝るとも劣らない、忠義を尽くすご主人にめぐり合うですネェ」
「・・・え・・・」
元始天尊様以外の?
そう聞こうとした時、丁度母が3人分のおかゆをお盆にのせて入ってきて、それ以上聞くことは出来なかった。
まだ幼いスープーシャンは完全に父の言ったことを理解したわけではなかったけれど、
ただスープーシャンがわかったのは、
父が誇りを持って仕事をしていたこと。
その父が、自分にもきっとできる、といってくれたこと。
それが、なんだかとても心強くて、父がとてもかっこよく見えたこと、その3つだった。
久しぶりに3人で食べた食事は味が薄かったけれど、今まで食べたおかゆの中で一番おいしかった、とスープーシャンはおもった。
「ゆくぞ、スープー!」
「ラジャーッス!」
そして今彼は、彼の唯一の主人を見つけた。
彼は戦いになるといろいろセコい手は使うし、気がつくと怠けてばかりだ。
元始天尊さまに勝るとも劣らないのかはそのへんよくわからないが、
「ここを乗り越えたら、休憩するとするかのう」
朝歌まで突っ走った後は必ずこうして休息をくれるし、
なんだかんだで自分よりもスープーのことを考えていたりする。
そんな彼の「ご主人」のためなら、父のように倒れても自分は主人を守ろうとするだろう。
そんなことは考えなくても、もう彼の体がそう動くようになっていた。
「休憩ばっかじゃないっすか」
そういいながら、スープーはふわりと宙を舞った。
太公望と普賢。
二人がこの時代個別で黄巾に乗れたかの記憶は定かではない(汗。
prologue,・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「望ちゃん」
水面に向けていた視線をふと後ろに向けると、普賢が今自分の腰掛けている大きな岩の下に立っていた。
「・・どうしたのだ」
また水面に視線をもどし、多少うっとうしそうに太公望は言った。
岩を軽々と登り、普賢は太公望の隣に腰を下ろす。
「白鶴が、君の様子を見に行ったら部屋に居なかったって大騒ぎして、僕のところに来たんだ。僕は大丈夫だろうと思ったんだけど、一応ね。・・やっぱり、ここにいると思った」
「・・・・」
「大丈夫、心配しないで」
君がここに居ることは、誰にも言わないから。
「まったく、白鶴もおせっかいなやつだのう・・元始天尊さまもほっとけと言ったであろうに」
「でもそこが、白鶴のいいところじゃない」
「確かにそうだが、ありがた迷惑、というやつだ」
そうかなあ、と小さく言って、普賢は空を仰ぎ見た。
「封神計画・・だっけ」
「・・・」
「妲己を倒して、平和な人間界を築く・・望ちゃんがずっと望んでいたこと、でしょう?」
「・・・うむ」
「何を、ためらっているの?」
水面を見る太公望の目が、ふと伏目になった。
こういうときの望ちゃんは、何も見ていない。普賢はそれを知っていた。
「・・おぬしには、言ってもよいか・・」
「口は固いよ」
「恐いのだ。今まで60年修行をして、宝貝ももたぬわしが、あの皇后を本当に倒せるのか?わしはおぬしのような十二仙でもない。うわさに聞く楊戩のような天才でもない。なのになぜわしなのだ?妲己を倒すのなら適任者は他におるのではないのか?」
「ねえ、望ちゃん。前にもこうして、釣りしながら話したことがあったね」
「・・ああ、釣り針をもらった、あのときか」
「そう。・・そのとき、言ったよね。君の心には、ギラギラ光るものがあるって」
「・・うむ」
「きっと元始天尊さまにも、それが見えていたんじゃないかな。それは僕にも、楊戩にもない。」
「わしが何かを持っているとでも言いたいのか?」
「だって、そうでしょう?」
「そうは、思えぬがのう」
「少なくとも望ちゃんは、僕の力を持っている。僕の持つ力が僕のためにあるとは、僕は思わない」
「普賢」
太公望が普賢に顔を向けた。
「これだけじゃ、不足?」
太公望に目を合わせて、いつもと変わらないように普賢は笑う。
「・・・」
「それに、望ちゃんがずっと恐れていたことは・・望ちゃんが妲己に敗れることじゃなく、他の誰かが妲己を倒して、君の理想とは違う人間界を作ってしまう。そういうことではないの?」
「・・・」
「望ちゃんの理想は、望ちゃんが描くべきだよ。より強く自分の理想を描いた者に人は力を託すんだ」
僕の描く理想は、きっと君の描く理想に付随した世界だから。
「・・普賢」
望ちゃんの目が、光を宿したように僕には見えた。
「何?」
「わしは、理想は描かん」
「え?」
「理想というのは現実の対義語ではないか。理想を理想のままにする気はわしにはない」
「・・・あ」
望ちゃんが、ニヤリと笑う。
「おぬしのおかげだ、普賢。枷が外れたように頭がさえてきおったぞ。こうしちゃおれん、準備をせねば!」
そういうと、あっという間に自分の乗ってきた黄巾力士にとびのってしまった。
「・・これで僕も任務完了、ってとこかな」
実は僕がここに来たのは、元始天尊さまに尻をたたいて来いと言われたから、だったのだけど。
それも本当は必要ないんじゃないかと思っていたけど、来て見てよかったみたいだ。
「あ。望ちゃん、竿を忘れてる」
釣竿を拾い上げると、普賢も自分の黄巾力士に向かって、のんびりと歩き出した。
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